令和5年10月1日から導入開始される消費税のインボイス制度。いよいよ、開始時期が迫ってきました。ここであらためて、我が国の消費税の歴史を振り返ってみましょう。
日本では平成元年(1989年)4月1日にはじめて消費税が導入されましたので、もはや30年以上が経過しました。この年代の方々は生まれたときから消費税が身近にあったのですね(歴史を感じます…)。
消費税は税金を納付する人と税金を負担する人が異なるいわゆる「間接税」です。これに対して税金を納付する人と税金を負担する人が同じである税金を「直接税」を呼びます(法人税や所得税など)。消費税導入以前は、特定の物品やサービスのみに課税する「物品税」が存在していました。
課税される物品 |
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・ゴルフ用具 ・コーヒー ・普通の家具 ・毛皮製品 など |
課税されない物品 |
・テニス用具 ・紅茶 ・桐製の家具、漆塗りの家具 ・高級織物 など |
物品税は贅沢品課税として定義されていましたが、上記の表のように時代の変遷とともに何が贅沢品かという定義もあいまいになりました。
そこで個別的に課税する間接税ではなく全体に広く課税する間接税が必要となり、消費税が導入されたという経緯があります。
消費税導入時は税率が3%でスタートしましたが、平成9(1997)年4月1日に5%(国4%+地方1%)、平成26(2014)年4月1日に8%(国6.3%+地方1.7%)、さらに令和元(2019)年10月1日に標準税率10%(国7.8%+地方2.2%)及び軽減税率8%(国6.24%+地方1.76%)と変遷しています。特に、直近の改正では我が国で初めて複数税率が導入されました。
そして今回、令和5年10月1日からインボイス制度が始まります。消費税の導入、税率の変更に続く大改正なのですが、中小事業者や個人事業者、特に従来から消費税の免税事業者である事業者には当該制度が浸透していない気がしています。
消費税に限らず、税法にはいわゆる「線引き」が必要なのは仕方がないのかもしれませんが、この線引きを設けることが制度をより一層、複雑化している面があります。制度には例外も必要なのかもしれませんが、可能な限り、シンプルなものにしないと制度そのものが浸透しないと考えています。ましてや、特殊な税法ではなく老若男女、老いも若きも皆が広く関係する消費税、できる限りわかりやすい制度にしていかねばなりません。この際、複数税率も免税点制度も廃止したらよろしいかと…
担当 M.M